ADHDとは?子どもの発達障害についてわかりやすく解説

今回は、ADHDについてお話ししたいと思います。

ADHDとは、注意欠如・多動症と呼ばれる発達障害の一種です。

ADHDのお子さんを育てる親御さんは、様々な悩みや困難に直面することがあります。そこで、この記事では、ADHDの特徴や原因、診断方法、支援の方法などについて

わかりやすく説明していきます。

あなたのお子さんがADHDであるかどうか、またどのように対応すればよいか、参考にしていただければ幸いです。

 

 ADHDの特徴とは?

ADHDの特徴は、主に以下の3つに分けられます。

 

- 不注意:注意を持続させることが困難で、細かいミスをしやすい。忘れ物や散らかしをよくする。指示や説明を聞き逃すことが多い。
- 多動:落ち着きがなく、じっとしていられない。席を立ったり走り回ったりする。手足を動かしたり物を触ったりする。
- 衝動性:待てない性格で、順番を守れない。思ったことをすぐ口に出したり行動に移したりする。危険なことにも挑戦しがち。

 

これらの特徴は、発達水準からみて不相応であり、学校や家庭などの複数の場面で持続的に認められる場合に、ADHDと診断されます。ADHDの子どもは、12歳以前からこれらの特徴がありますが、幼児期では多動や衝動性が目立ちます。

小学校高学年から中学校にかけては不注意が増えます。高校生以降では多動が減少し、内面的な落ち着きのなさや不安感が強くなります。

ADHDの子どもは、これらの特徴以外にも以下のような行動や感情を示すことがあります。

 

- 学習能力や知能は普通でも成績が低い
- 集中力や記憶力が低い
- 計画性や組織性が乏しい
- 時間管理やルーティンが苦手
- 自己管理や自己調整ができない
- 感情のコントロールができない
- 自己肯定感が低い
- 社会性やコミュニケーション能力が低い
- 友達関係や家族関係にトラブルが多い

 

これらの行動や感情は、ADHDの子ども自身だけでなく、周囲の人々にも影響を及ぼします。

例えば、学校では授業についていけなかったり、先生やクラスメートと衝突したりすることで問題行動とみなされることがあります。

家庭では親子関係にひずみが生じたり、兄弟姉妹と喧嘩したりすることで家庭内暴力や虐待の原因になることもあります。

 

ADHDの原因とは?

 

ADHDの原因は、完全に解明されているわけではありませんが、主に以下の2つの要因が関係していると考えられています。

 

- 遺伝的要因:ADHDは遺伝性が高く、親や兄弟姉妹にADHDがいる場合、子どもがADHDになる確率が高まります。ADHDに関係する遺伝子や染色体の異常が発見されています。
- 環境的要因:妊娠中や出産時の合併症、低体重児、早産、脳の障害や感染症、栄養不足、母親の喫煙や飲酒などが、胎児や乳幼児期の脳の発達に影響を与える可能性があります。また、家庭環境や育児態度、学校環境や教育方法なども、ADHDの発現や重症度に影響を与えると考えられています。

 

ADHDは、脳の神経伝達物質ドーパミンノルアドレナリンなど)の分泌や受容体の働きに異常があることで、脳の前頭前野前頭前皮質などの機能が低下することで起こると考えられています。これらの部位は、注意力や集中力、自制心や計画性などを司る部位です。そのため、ADHDの子どもはこれらの能力に欠ける傾向があります。

 

ADHDの診断方法とは?

ADHDの診断は、主に以下の3つのステップで行われます。

- 問診:医師が親や本人に対して、発達歴や症状歴、家族歴などを聞きます。また、学校や職場などでの様子も確認します。
- 検査:医師が親や本人に対して、標準化されたチェックリストや尺度を用いて、ADHDの特徴を評価します。また、知能検査や学習能力検査なども行うことがあります。
- 観察:医師が親や本人に対して、実際に目で見て行動や感情を観察します。

 

これらのステップを経て、医師はDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)¹ やICD-11(国際疾病分類第11版)² などの基準に基づいて、ADHDかどうかを判断します。ただし、ADHDは一目でわかるような明確な基準があるわけではなく、個人差も大きいため、診断は必ずしも容易ではありません。そのため、診断には時間がかかったり、専門家の意見が分かれたりすることもあります。

 

 ADHDの支援方法とは?

ADHDの支援方法は、主に以下の3つに分けられます。

- 薬物療法:医師の処方により、精神刺激薬(メチルフェニデートなど)や非刺激薬

(アトモキセチンなど)を服用することで、脳の神経伝達物質のバランスを調整し、ADHDの特徴を緩和することができます。薬物療法は、ADHDの支援方法の中で最も効果的であり、多くの子どもに対して有効です。ただし、薬物療法には副作用や依存性のリスクもあります。そのため、医師の指示に従って適切に服用することが重要です。

 

- 行動療法:心理士やカウンセラーなどの専門家が、親や本人に対して、ADHDの特徴を理解し、適切な対応方法を教えることで、ADHDの子どもの行動や感情を改善することを目指します。行動療法には、以下のような方法があります。
  - 親子トレーニング:親が子どもの良い行動をほめたり、悪い行動に対して一貫したルールや制限を設けたりすることで、子どもの自制心や自己管理能力を育てる方法です。
  - 子どもトレーニング:子どもが自分の感情や衝動をコントロールする方法や、友達と上手に関わる方法を学ぶ方法です。
  - 認知行動療法:子どもが自分の考え方や信念を認識し、それが自分の行動や感情にどのように影響するかを理解する方法です。また、否定的な考え方を肯定的な考え方に変える方法も学びます。


- 教育的支援:学校や教育機関が、ADHDの子どもに対して、個別化された学習計画やカリキュラムを提供することで、学習能力や学業成績を向上させることを目指します。教育的支援には、以下のような方法があります。
  - 個別指導:子どもの学習水準やペースに合わせて、一対一で教える方法です。
  - 小集団指導:子ども同士で協力しながら学ぶ方法です。
  - 特別支援教室:ADHDや他の発達障害のある子どもだけで学ぶ方法です。
  - 学習支援員:授業中や休み時間に子どものサポートをする人です。

 

これらの支援方法は、それぞれにメリットやデメリットがあります。また、ADHDの子どもは個人差が大きいため、一概に効果があるとは言えません。そのため、医師や専門家と相談しながら、お子さんに合った支援方法を選択することが重要です。

 

まとめ

この記事では、ADHDについて以下の点についてお話ししました。

- ADHDは注意欠如・多動症と呼ばれる発達障害であり、不注意・多動・衝動性という3つの特徴があります。
- ADHDの原因は遺伝的要因と環境的要因が関係しており、脳の神経伝達物質のバランスが乱れることで起こります。
- ADHDの診断は問診・検査・観察の3つのステップで行われますが、個人差が大きいため、診断は必ずしも容易ではありません。
- ADHDの支援方法は薬物療法・行動療法・教育的支援の3つに分けられますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。また、お子さんに合った支援方法を選択することが重要です。

 

ADHDのお子さんを育てる親御さんは、多くの悩みや困難に直面することがあります。しかし、ADHDは決して治らない病気ではありません。適切な支援を受けることで、ADHDの子どもは自分の長所や強みを発揮し、社会に貢献できる人材になることができます。あなたは一人ではありません。ADHDの子どもを持つ親御さん同士で情報交換したり、専門家に相談したりすることで、支え合いながら乗り越えていきましょう。

 

以上、ADHDについての記事でした。この記事があなたのお役に立てば幸いです。

ありがとうございました。