自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの障害とは?その特徴と原因

自閉症スペクトラム障害ASD)とは、他者とのコミュニケーションや対人関係に困難があることが特徴の発達障害です。

自閉症スペクトラム障害には、自閉症アスペルガー症候群、広汎性発達障害などが含まれます。

自閉症スペクトラム障害の原因はまだ明らかになっていませんが、先天的な脳の機能障害が関係していると考えられています。

 

自閉症スペクトラム障害を持つ子どもは、言葉や表情、ジェスチャーなどから相手の心情や意図を汲み取ることが難しいため、会話や交流がうまくできません。

また、自分の感情や気持ちを表現することも苦手です。これらのコミュニケーションの障害には、以下のような特徴や種類があります。

 

コミュニケーションの障害の特徴と種類

- 言語的コミュニケーションの障害:言葉を使って相手と意思疎通することが困難な障害です。言語発達に遅れがあったり、言葉の理解や発話が不十分だったりします。

また、言葉を使っても、相手の立場に立って考えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることができません。

そのため、会話が一方的だったり、無反応だったり、冗談や皮肉を理解できなかったりします。


- 非言語的コミュニケーションの障害:言葉以外の方法で相手と意思疎通することが困難な障害です。

表情や目配せ、身振り手振りなどから相手の心情や意図を汲み取ることができません。また、自分も表情や目配せ、身振り手振りなどで感情や気持ちを表現することができません。

そのため、無表情だったり、視線が合わなかったり、動作がぎこちなかったりします。


- 社会的コミュニケーションの障害:社会的な場面で相手と適切にコミュニケーションすることが困難な障害です。

他者への関心や共感が低く、相手の気持ちを理解したり尊重したりすることができません。また、空気を読んだり場に合わせたりすることもできません。

そのため、自己中心的な発言や行動をしてしまったり、場にそぐわない発言や行動をしてしまったりします。

 

コミュニケーションの障害は、自閉症スペクトラム障害の子どもにとって大きな悩みや苦しみの原因となります。また、親や周囲の人にも理解や対応が難しい問題となります。

 

コミュニケーションの障害の原因と診断

自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの障害の原因は、脳の機能に何らかの異常があることが関係していると考えられています。具体的には、以下のような要因が挙げられます。

 

- 脳内の神経伝達物質のバランスが崩れていること
- 脳内の神経回路や神経細胞の発達や成熟が不十分であること
- 脳内の情報処理能力や注意力が低下していること
- 脳内の感情や社会性に関係する部位が正常に働いていないこと

 

自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの障害は、生まれつき持っているものですが、症状は子どもの成長や発達によって変化します。また、個人差も大きく、軽度から重度までさまざまな程度があります。

 

自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの障害は、専門医による診断を受けることで確認できます。診断は、以下のような方法で行われます。

 

- 問診:親や保育園・学校などから子どもの発達歴や症状について聞き取ります。
- 検査:子どもに対して様々な課題やテストを行って、言語能力や知能、行動、感情などを評価します。
- 観察:子どもの表情や目配せ、身振り手振りなどを観察して、非言語的コミュニケーション能力を評価します。
- 診断基準:アメリカ精神医学会(APA)が定めたDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)や世界保健機関(WHO)が定めたICD-11(国際疾病分類第11版)などの診断基準に照らし合わせて、自閉症スペクトラム障害の有無や程度を判断します。

 

自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションの障害は、早期に発見し、適切な支援や治療を受けることで、症状を軽減したり、社会生活を送ることができます。そのため、子どもにコミュニケーションの障害の兆候がみられた場合は、早めに専門医に相談することが大切です。