自閉症スペクトラムとは何か?親御さんが知るべき基礎知識

自閉症スペクトラムという言葉を聞いたことはありますか?

自閉症スペクトラムは、発達障害の一種で、コミュニケーションや社会性に困難がある人のことを指します。

自閉症スペクトラムには、さまざまなタイプや程度があります。そのため、一人ひとりの特性やニーズに合わせた支援が必要です。

 

自閉症スペクトラムについて知ることは、お子さんの理解や育児に役立ちます。

この記事では、自閉症スペクトラムとは何か、どんな原因があるか、どうやって診断されるか、親御さんが知るべき基礎知識を紹介します。

 

自閉症スペクトラムとは何か?

自閉症スペクトラムとは、脳の発達に関係する遺伝子や環境要因などが影響して起こる発達障害の一種です。自閉症スペクトラムには、以下のような特徴があります。

 

- コミュニケーションに困難がある
- 社会性に困難がある
- 繰り返し行動や限定的な興味を示す

 

コミュニケーションに困難があるということは、言葉や表情、ジェスチャーなどで意思や感情を伝えることが苦手だったり、相手の言葉や表情、ジェスチャーなどを理解することが難しかったりすることです。そのため、会話やコミュニケーションがうまくできないことが多くあります。

 

社会性に困難があるということは、人と関わることや共感することが苦手だったり、社会のルールや常識に従うことが難しかったりすることです。そのため、友達や家族、先生や同僚などとの関係がうまく築けないことが多くあります。

 

繰り返し行動や限定的な興味を示すということは、同じことを繰り返したり、特定のことに夢中になったりする傾向があったり、変化や予期せぬ出来事に対応することが苦手だったりすることです。そのため、日常生活や学校生活、仕事などで困難が生じることが多くあります。

 

自閉症スペクトラムは、一人ひとりの特性や程度によってさまざまなタイプがあります。以前は、自閉症アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD-NOS)などと分類されていましたが、現在はすべて自閉症スペクトラムと呼ばれています。自閉症スペクトラムは、以下のようにレベルで表されます。

 

- レベル1:軽度から中程度の自閉症スペクトラム
- レベル2:中程度から重度の自閉症スペクトラム
- レベル3:重度の自閉症スペクトラム

レベル1:軽度から中程度の自閉症スペクトラム

レベル1は、コミュニケーションや社会性に困難がありますが、言語能力はある程度発達しています。また、知能は正常から高い場合が多くあります。興味や知識が深い分野で優れた能力を発揮することもあります。しかし、日常生活や学校生活、仕事などで支援が必要な場面もあります。

 

レベル2:中程度から重度の自閉症スペクトラム

レベル2は、コミュニケーションや社会性にかなりの困難があります。言語能力は限られており、単語や短文で話すことができる場合もありますが、会話はほとんどできません。知能は正常から低い場合が多くあります。日常生活や学校生活、仕事などでかなりの支援が必要です。

 

レベル3:重度の自閉症スペクトラム

レベル3は、コミュニケーションや社会性に非常に大きな困難があります。言語能力はほとんど発達しておらず、話すことも聞くこともできません。知能は低く、自閉症以外にも知的障害やてんかんなどの合併症を持つ場合が多くあります。日常生活や学校生活、仕事などで常に支援が必要です。

 

自閉症スペクトラムの原因は何か?

自閉症スペクトラムの原因は、現在のところ完全には解明されていません。しかし、科学的な研究によって、以下のような要因が関係していることが分かっています。

 

- 遺伝子:自閉症スペクトラムに関係する遺伝子の変異や欠損などが見つかっています。また、家族内で自閉症スペクトラムが発生する確率は高くなります。


- 環境:妊娠中や出産時の感染症や栄養不足、薬物使用などが影響する可能性があります。また、空気汚染や農薬などの化学物質にさらされることも関係する可能性があります。


- 脳:自閉症スペクトラムの人の脳は、一般的な人の脳と比べて構造や機能に違いがあることが分かっています。特に、コミュニケーションや社会性に関係する部分に差が見られます。

 

自閉症スペクトラムの原因は、遺伝子や環境要因などが複雑に絡み合っていると考えられています。

そのため、一概には言えませんが、自閉症スペクトラムは生まれつきのものである可能性が高いです。

親御さんは、自分やお子さんを責めたりせず、自閉症スペクトラムを受け入れることが大切です。

 

自閉症スペクトラムはどうやって診断されるか?

自閉症スペクトラムは、医学的な検査や血液検査などで診断することはできません。自閉症スペクトラムの診断は、専門家や医師などが、お子さんの行動や発達を観察したり、親御さんや教師などに聞いたりして行います。その際に、以下のような基準やチェックリストなどが使われます。

 

- DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版):自閉症スペクトラムの診断基準として国際的に認められているものです。コミュニケーションや社会性に関する困難と、繰り返し行動や限定的な興味に関する困難の2つの領域について評価します。
- ADOS(自閉症診断観察スケール):自閉症スペクトラムの診断に用いられる観察法です。専門家がお子さんと一対一で様々な活動を行いながら、コミュニケーションや社会性に関する行動を観察します。
- ADI-R(自閉症診断面接改訂版):自閉症スペクトラムの診断に用いられる面接法です。専門家が親御さんにお子さんの発達や行動について詳しく聞きます。
- CARS(幼児自閉症評価尺度):自閉症スペクトラムの診断に用いられるチェックリストです。専門家がお子さんの日常生活や行動について15項目で評価します。
- ABC(自閉症行動チェックリスト):自閉症スペクトラムの診断に用いられるチェックリストです。専門家や親御さんがお子さんの言語や社会性、感覚などについて57項目で評価します。

 

自閉症スペクトラムは、早期発見・早期介入が重要です。

お子さんに以下のようなサインが見られた場合は、早めに専門家や医師などに相談してください。

 

- 1歳半までに話さない
- 2歳までに単語を組み合わせて話さない
- 目を見て話さない
- 名前を呼ばれても反応しない
- 人と一緒に遊ぶことに興味がない
- 人の気持ちや考えに共感できない
- 特定の物やテーマに強く執着する
- 同じ動作や言葉を繰り返す
- ルーティンや順序を変えられるとパニックになる
- 音や光、匂いなどに過敏に反応する

 

まとめ

以上が、自閉症スペクトラムとは何か、どんな原因があるか、どうやって診断されるか、親御さんが知るべき基礎知識でした。

自閉症スペクトラムは、一人ひとり違うものです。

親御さんは、お子さんの個性や可能性を大切にしながら、一緒に成長していくことができます。